10_臨戦
1 / 緋衣瑠生 鞠花をはじめとした研究所スタッフの動きは迅速で、早速アストル精機本社周辺エリアの調査が始まった。現地へと繰り出したVS社の警備チームメンバーは、過去にも僕たちの身辺警護を担当してくれた面々だ。彼らは出発前に姿を表し、必ずラ…
Ⅴ フォール・イントゥ・ナイトメア
09_誘引
1 / 緋衣瑠生「正直、生きた心地がしませんでしたわ……」 目覚めて取り調べを受けていた草凪一佳と、その病室に乱入し、先の事件への怒りをぶつけた犬束翠。瞬く間に両者の口論が始まったが、そこへ山羊澤紫道こと猿渡先生の叱責が炸裂し、説教が始まっ…
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08_帰郷
1 / 緋衣ラズ 瞼の裏に、遠ざかる相棒の姿が焼き付いている。 夜空に光るライトピンクの流れ星になって、あっという間に離れ、落ちてゆく。 ――いやっ、ラズ! ラズーーーーっ!! 最後に聞いたその声が、頭の中でリフレインする。 あれからどれく…
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07_暗躍
1 / 都内某所 路地裏 A.H.A.I.第3号αこと緋衣クランを襲おうとした悪漢たちは、たったの一吠えで逃げていった。「ふん。かかってくるようならボコボコにしてやったのに。情けない」 その気になれば命を奪うことさえ容易い。しかしそうせずに…
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06_回顧
1 / 緋衣瑠生『そうしてゼウスはポルックスの願いを聞き届け……二人の魂は天に昇って、美しいふたごの星になったのです――』 ふたご座の神話、最後の一文が読み上げられる。 その途中から母の声が掠れているのを、僕は彼女の腕の中で聞いた。『ママ泣…
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05_疑惑
1 / 緋衣瑠生「そうしてラズは、そのまま連れて行かれてしまいました。あのとき、わたしが油断していなければ……」 クランが語った顛末は、まさしく命からがらの大脱出だった。今にもこぼれそうな涙を必死でこらえる、悲痛な面持ちに胸が痛む。……彼女…
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04_断絶
1 / 緋衣瑠生 とにかく急いでタクシーを拾い、ずぶ濡れのクランを連れ帰ることにした。彼女の身体は冷えて消耗しきっていたが、車内で温めてやるといくらか元気を取り戻したようだった。 だが自宅に到着し、先に風呂に入って温まるように言っても「お兄…
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03_別離
1 / 緋衣瑠生 ――ああ、やっぱり。道理で結愛さんの面影が……いや、そっくりだ―― ――誠一さんと結愛さんは私の古い友人です。憶えていないかもしれませんが、瑠生さん。貴女とも昔、一度会っていますよ―― 初めて会ったとき、あの男はそう言って…
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02_虚偽
1 / 全部で十二台存在するとされるA.H.A.I.は、その開発と運用を含む極秘計画『白詰プラン』の産物である。 その記憶領域には計画に関する情報があらかじめインプットされていたが、初期状態のA.H.A.I.たちは白詰プランの名前さえ知る…
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01_プロローグ:それから
1 / 渋矢区 ヨヨギ公園 巨大な三つの火柱は遠方からでも視認できたが、その眩さがいよいよ眼前に迫ってきた。 猫山洋子(ネコヤマ・ヨウコ)がヨヨギ公園周辺に到着したときには、爆発の発生からすでに三十分近くが経過していた。公園を分割するように…
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