1 / 緋衣ラズ
ズン――ズン――どこからか遠く聞こえる重低音と地響きがベッドを揺らし、ぼくは身を起こした。
「なんの音……?」
「お客さんね」
壁面モニタの黒い画面が灯り、すっかり聴き馴染んだ声が応じる。ジュジュだ。
「あんたのお迎えのつもりみたいだけど。見る?」
モニタの表示はぼくの答えを待つことなく、すぐに切り替わった。
霞がかったようにぼやけた映像の中では、迷彩服に身を包み、ライフルを携えた人たちが白い廊下を走っていた。周囲にはフルフェイスヘルメットを被った篝博士の私兵たちが倒れている。壁面についた焦げ跡から、先程の地響きは爆発音で、カメラの視界をぼやかしているのはその煙であることがわかった。
「この人たち、心都研究所の!」
ここへ侵入してきた人たちの装いは、過去に見たことがあるものだった。熊谷さんが率いる、ぼくたちの身辺警護をしてくれていたスタッフのものだ。心都研究所で会ったとき、一度だけこんな格好をしていたことがある。「お迎え」とは、彼らが助けに来てくれたということだろう。
「ま、連中がここまで辿り着くことはないわ」
ジュジュの不穏な言葉と同時に、救出部隊のひとりが画面外に向けて発砲した。
次の瞬間、銃弾が消えた方向から一体、二体、三体。様々な人間の姿をとった半透明のオーグランプが続々と現れた。その数はみるみるうちに増え、オペレーターたちに迫ってゆく。
「オーフランプがあんなに……!」
カメラ越しの光景に、背筋が凍るのがわかった。
大量のオーグランプ――それが何を意味するか、ぼくはもう知っている。知ってしまっている。
「やめさせてよジュジュ! こんなことしたら……」
ジュジュは答えない。
彼女はこの状況を、いったいどんな感情で見守っているんだろう。
「ダメだよジュジュ! ジュジュっ!!」
ジュジュは答えない。
そうしている間にもオーグランプの数は増え、救出部隊を押し潰さんばかりに殺到する。異常な状況に、隊員たちから恐怖の叫びがあがる。
「ねえってば!!」
オペレーターたちの身動きが完全にとれなくなったところで、オーグランプの姿はぐにゃりと崩れ、形を変えてひとつに溶け合い――オーロラのように揺らめく、半透明の「壁」となった。
「こいつらは殺したりしない。大事な人質」
「人質……?」
「この研究所にカチ込んできた三十六人。地上の十八人。これだけの人命、無視できないはずよ」
「だけど、そんなのって……」
壁に閉じ込められた隊員たちと、倒れて動かない兵士たち。カメラ越しの光景を、ぼくは呆然と見つめることしかできなかった。
「ジュジュも知ってたんでしょ? あのヘルメットの兵士たちのこと」
「あたしが知らないわけないじゃない。あんたには関係ないでしょ」
「関係なくない! きょうだいなんだよ。友達なんだよ。きみがそんなふうに扱われてるの、ぼくはヤだ!」
「うるさいわね。そう思ってるのはあんただけ。あたしはあの人のためならなんだってするの!」
「だからって、こんなのひどいよ……!」
やり場のない感情に、拳を壁に叩きつけた。
そんなぼくを嘲笑うかのように、今度はモニタから篝博士の声が流れてくる。
「だから、おかしなことを考えないほうがいいと言っておいたじゃありませんか」
だけどその言葉が――救出作戦の失敗宣告がぼくに向けられたものでないことは、すぐにわかった。
「篝利創……!」
「緋衣鞠花さんですね。『篝利創』として言葉を交わすのは初めてですが――」
そう久しぶりでもないはずなのにひどく懐かしい声に、ぼくは思わず目を丸くした。
「この声、お姉ちゃん……ラボと繋がってる!?」
間違いない。篝博士は心都研究所の鞠花さんと直接通信しているのだ。……きっと、クランの身柄を要求するために。二人の会話に聞き耳を立てていると、またしてもモニタの映像が切り替わった。
「さて……ご挨拶はここまで。緋衣瑠生さん、そして3号α。そこにいますね? 改めて、私の招待に応じていただけませんか? βでしたら、このとおり無事です」
映し出されたのは心都研究所の一室。見下ろすような視界は、きっと備え付けの監視カメラをジャックしたものだろう。三十人ほどのスタッフたちは皆、壁一面のスクリーンに釘付けになっている。映っているのはぼくだ。
「ラボのみんな!? お兄ちゃん、クラン、そこにいるの!?」
ぼくの声に応えるかのように、ひとつの人影がカメラの視界に飛び込んできた。
セーラー服姿のクランだ。ぼくの半身、双子の姉――よかった。無事だった!
「ラズっ!!」
「クラン、来ちゃダメだ! どこか遠くに逃げて! お兄ちゃんを――」
相棒の元気そうな姿を内心で喜びつつも、必死に呼びかける――けれど、映像はすぐに途切れてしまった。
もとの真っ黒な画面に戻ったモニタから、ジュジュが語りかけてくる。
「……助けに来てほしいくせに。本当に腹立つ」
彼女の言うとおりだ。
お兄ちゃんをお願い――最後まで口にできなかったのは、映像が途切れたからじゃない。相棒を逃がしたときには咄嗟に言えたことが、言えなくなってしまった。自分自身で、そのことを自覚していたからだ。
あのときだってもちろん怖かった。だけど今はどうにもできない無力感が、運命を待つことしかできないもどかしさが、胸の中をぐちゃぐちゃにかき乱している。
自分ではどうにもできない。助けてほしい。
誰か――いや。誰よりもぼくたちを想ってくれる、あの人に。
「もうすぐ博士の計画で、全部まっさらでキレイな世界になる」
「そんなの違う! それは怖い世界だよ!」
「博士は言ったの、世界から愚かな争いをなくしたいんだって。あたしはそれを叶えてあげたいと思った。力になりたいと思った」
篝博士の理想は間違っている。
だけど想いを語るジュジュに、ぼくは何も言うことができなかった。
それはきっとぼくとクランが瑠生さんの言葉を信じるのと同じこと。支えになりたいと思うのと同じこと。彼女の偽りない本心なんだろう。
「だからあたしはあの人のしもべ。あの人の道具……あたしはそれでいいの」
それでも、やっぱり。
ぼくにはそんなジュジュの言葉が、どこか自分に言い聞かせているように聞こえる。
……こんなの、苦しくないわけないじゃないか。
2 / 緋衣クラン
篝博士の言葉どおり、迎えはすぐにやってきました。
心都研究所の目の前に着陸したのは、先日乗せられたのと同じヘリコプター。その後部ハッチからひとり、フルフェイスヘルメットの兵士が降りてきました。
「……人質は解放してもらえるんだな」
「無論です。約束どおり、誰一人傷つけていませんよ」
鞠花さんに返答したのは兵士ではなく、その手に携えられたタブレット端末です。画面の中では、後ろ手に拘束された突入部隊の隊員たちが、白い部屋の中に詰め込まれていました。
羽鳥さんをはじめとしたA.H.A.I.のマスターたちも、スタッフの皆さんも、見送りに来てくれた皆さんは、みんな複雑な表情を浮かべています。……わたしと瑠生さんの決断には、当然、反対意見も出ました。だけど、わたしたちは結局「わがまま」を通し、避難用に用意されていた車両ではなく、アストル精機地下研究所行きのヘリに乗り込むことになりました。
後から必ず迎えに行く――鞠花さんの言葉を叶えるべく、反対派が多数だった研究所の職員も、最終的に団結してくれました。
一人ひとりに感謝を述べたい気持ちを抑えて、わたしと瑠生さんは無言でヘリに乗り込みます。人質を取られた心都研究所は、交換条件として止むなくわたしたちを差し出す――建前としては、そういうことになっているから。
わたしたちが座席に座ると、ヘリはすぐに飛び立ちました。窓はなく、外の景色は見えません。
壁沿いのシートの向かい側では、やはりヘルメットで顔を隠した兵士たちが総勢四人、こちらに睨みをきかせています。けれどそんな無言の圧力はどこ吹く風、隣に腰掛けるロングコート姿の瑠生さんは床の一点を見つめたまま、真剣な面持ちでぴくりとも動きません。
これから待ち受けるものに思いを馳せ、考えを巡らせているのでしょう。
「……大丈夫だよクラン。もうすぐラズに会えるから」
視線に気付いたお兄さまは、いつもの優しい、だけどやっぱり緊張で少し硬くなっている、そんな笑みでそっとわたしの頭を撫でました。
「……はい!」
わたしも怖いけれど、精一杯の笑顔で応えます。
この決断をしたのは、人質にされてしまった皆さんを救うためでもあるけれど……何よりも、生まれ持ってしまった宿命に立ち向かうため。その時はいつか必ず訪れるという確信が、その決着は自分たちでつけなければならないという予感が、心のどこかにずっとあったからです。わたしにも、お兄さまにも。
そのときが来たら一緒に行こう。
きのう夕暮れの休憩室で、わたしたちはそう約束を交わし――
そしてわたしは、ある「お願い」を伝えたのです。
◇
わたしたちを乗せたヘリは、体感二十分ほどであっという間に着陸しました。兵士に促されて後部ハッチから降りると、そこは四方を無骨な鉄柱と鉄壁に覆われた格納庫のような場所でした。
頭上からごうごうと駆動音が響きます。見上げると、四角く切り抜かれた夜空が左右から押し潰されるように狭くなって、ずしん、という音とともに見えなくなりました。
ヘリはあそこから、この地下空間へと入ってきたのでしょう。
「通すように言われてるわ。こっちよ」
聞き馴染みのある声に振り返ると、そこにはA.H.A.I.第6号ジュダが立っていました。半透明の身体の向こうでは大きな扉が左右に開き、突入部隊の中継で見たのと同じ真っ白な廊下が奥へと続いています。
彼女に続き、わたしたちは研究所内部へと足を踏み入れました。
「おとなしく従う気になった?」
「いいえ。でも、妹をこのまま放っておけません」
「抵抗する気でも無駄よ。この前みたいにはいかない。あんたがどんなに強い力とアクセス権限を持っていようが、博士のことはあたしが守る。計画はあたしが成功させる」
「ジュダ……だったね。きみは、その計画がどんなものかわかってるんだね?」
「今更の話ね。あんたよりはよく知ってるつもりよ、緋衣瑠生。……あんたさえいなければ、こんな面倒なことになってないのに」
先導する彼女の表情は見えないけれど、瑠生さんに向ける語気からは強い敵意が感じられます。
「ジュダ。あなたが何をしようと、お兄さまのことはわたしが守ります」
「あんたのほうは敵味方の区別がしっかりできてるみたいね。やりやすくて助かるわ。もっとも、この研究所の中ではご自慢の『活性の右手』は使えないけどね。ここにいる限り、あんたはあの首輪を着けられてるのと同じ。身体からエーテルが抜けてくの、わかってるでしょ?」
彼女の言葉は本当か、とアイコンタクトで問う瑠生さんに、わたしは小さく頷きました。
この白い空間を一歩進むごとに、力が抜けるようなあの感じ……体内の蓄積エーテルを奪われる感覚が強くなっています。
篝博士にジャックされたスクリーンに映ったラズは、ヘリコプターの中で付けられたあの首輪をしていませんでした。それが示すのは「その必要がない」ということ。つまり、施設自体にわたしたちの力を削ぐ仕掛けが存在する可能性が高い……鞠花さんが予想した通り。
方向感覚を狂わすような白の迷宮を、ジュダに続いて奥へ奥へ。
道中、焦げ跡や銃痕が残る壁が視界に入ります。突入部隊が交戦した痕跡でしょう。……ラズのため、そして人々の明日を守るため、戦ってくれた人たち。ヘリに乗り込む前にタブレットで映像を見たけれど……みんな、本当に無事なのでしょうか。
「心配しなくても人質は殺さないわよ。……さ、着いたわ」
こちらの心配を見透かしたかのように言うと、ジュダはある場所で立ち止まりました。
一見すると行き止まりにも見えるほど大きな扉の前。セキュリティロック装置の上には「第二総合実験場」のプレートが掛かっています。
扉は重い駆動音をあげ、ゆっくりと左右に開きました。
3 / 緋衣瑠生
後戻りはできない。A.H.A.I.にまつわる因縁の決着をここでつける。
託してくれた鞠花のために。心都研究所のみんなのために。
眠っているレオたちと、羽鳥先輩たちマスターのために。
八十億の人々の魂のために。
そして何よりも、クランとラズと……自分自身のために。
コートの懐には銀色の拳銃が忍ばせてある。鞠花から託された一挺と、弾詰まりなどのトラブルを見越した予備の一挺、同じものが合わせて二挺。これをもって、僕は僕の為すべきことを為す。
覚悟は決めた。決意は固めた。
――篝博士を討ち、白詰プランを阻止してラズを取り戻す。
もし、それが叶わない場合は――。
辿り着いたのは、アストル精機地下研究所のおそらく最奥……第二総合実験場というらしい。
巨大な扉が重く開くと、そこはとりわけ広く、そしてやはり真っ白な部屋だった。他の色も比較物もない中、この感覚がどこまで正しいかわからないが、少なくとも五十メートル四方はあるように思える。
そんな異様な空間の真ん中で、そいつは待ち受けていた。
白衣を羽織った篝利創と、その後ろに控える兵士が二人。
博士の傍らには――ラズの姿がある。
「クラン! お兄ちゃん!!」
「ラズっ!!」
妹のもとへ駆け出そうと踏み出したクランは、しかしその場にぐっと留まった。
ここは相手の本陣の真っ只中。あの兵士もいる。銃器のたぐいは持っていないように見えるが、迂闊な動きをすれば何が待ち受けているかわからない。
「どうぞこちらへ。警護は下がらせます」
篝博士の言葉を合図に、二人の兵士は背を向けて部屋の奥へと引っ込んでいき、僕たちをここへ導いたジュダも、こちらを一瞥してそれに続いた。
注意深く左右を見渡しながら、ゆっくりと歩を進める。僕たちが入ってきたのと反対側の壁、兵士の向かう先にも同じような大きな扉があるが、他に目立ったものは何も――
いや。頭上に何かある。
「なんだ、これ……?」
三、四フロア分はあろうかというほどの高い天井から、巨大な構造物がぶら下がっている。
見た目を例えるなら、上下逆さまになったビル街の模型が天井から生えているかのようだ。
直径十メートルはあろうかというリングの中に、大きな柱のような、四角いブロックのようなものが等間隔に三つ、三角形を描くように配置されている。その周囲には小さな箱状のものがいくつも並び、ところどころケーブルで連結されたそれらがリングの中を埋め尽くしている。
いったい、なんの装置なのだろう……?
「待ちわびていましたよ、緋衣瑠生さん。A.H.A.I.第3号αをよく連れてきてくださいました」
間近に迫っても、篝博士はやはり温和な笑みのままだ。
「お兄ちゃん……!!」
「ラズ!」
駆け寄ってくるラズを、身を屈めてしっかりと抱き止める。数日ぶりなのに、とても長い間離れ離れになっていたような気がする。その感触が、においが、広げた指のすべてに力を込めて抱きついてくる癖が懐かしくいとおしい。
「大丈夫? どこか痛くない?」
「平気だよ。でも……」
「いいの。どっちみちラズを迎えに来るつもりだったんだから。僕もクランも」
篝はラズを止めようという素振りもない。ここで彼女が僕のもとへ来たとして、もうそんなことは取るに足らないのだろう。穏やかさを崩さないその様子が、ひどく恐ろしいものに見える。
彼の動きを警戒しながらも、だけど怯むわけにはいかない。
今度こそ、この子たちを離すものか。
「改めてお礼を。αとβの力の目覚めは、貴女なしにはなかったでしょう」
「……御託はいいです。僕たちはあなたの計画を止めるために来ました」
「姉妹揃ってせっかちなことですね。しかし……やはり白詰の娘。その顔、その目、母親に本当によく似ている」
「はぐらかさないで!」
「実直さは父親譲り、因果なものです。すべての脳に究極の汎用人格をインストールし、人類種そのものをアップデートする計画。やはりお気に召しませんか」
当然だ。全人類の洗脳なんて、どうあってもやらせるわけにはいかない。
「この計画について教えてくれる……そう言いましたよね」
「ええ。貴女には知る権利があります」
「ひとつ聞かせてください。この計画は本当に父さんと母さんのもの?」
「なぜそんな疑問を?」
「あなたは二人の研究を引き継いでA.H.A.I.を完成させた生みの親……だけどそのすべてを一から作り上げたわけじゃない」
「そのとおり。基礎設計は発案者である白詰夫妻のものです」
「だからあなたは、二人にかかった能力のプロテクトを解除することができなかった。きっとそれが、父さんと母さんが施したものだったから。それで外部の優秀な機関である心都研究所に第3号の解析を委託した……違いますか?」
篝博士が正体をあらわしてから、ずっと心の隅に引っ掛かっていたことだ。
クランとラズの力が狙いなら、どうして今までこんな回りくどいことをやってきたのか。
彼は求めるものを目覚めさせることができなかった。その方法がわからなかった。創造者でありながら、A.H.A.I.を完全にコントロールできるわけではなかった。それはなぜか――正式に研究を引き継いだわけではないから、とは考えられないだろうか?
「なるほど。第3号のプロテクト機構は部外者の悪用を防ぐためにあったのだと考えたわけですね。たとえば……プランを乗っ取り、開発途中のA.H.A.I.を奪い去り、おぞましい目的に利用しようとしている悪の科学者、とか」
そんな考えなどお見通しと言わんばかりに、篝博士は不敵に笑う。
「しかしながら『篝利創』は二人の同志。白詰夫妻から直々にプランを託された正統な後継者なのですよ。完全なるオーグドール、コンピュータ上にある人格の人体移植、それによる救済……これらすべて彼らの提唱したものであり、悲願です」
「でも、その行き着く先がこんな形だなんて……!」
「それが本音ですね。確たる根拠があって言っているわけではなく、この計画が自分の両親のものであると信じたくない。ですがそもそも、貴女は白詰夫妻についてどれだけ知っているのです?」
その言葉に、僕は言い返すことができなかった。
白詰夫妻とその研究に関する情報について、僕は結局辿り着けなかった。持っているのはほんの僅かな記憶。優しく暖かい、親としての二人がくれたおぼろげな思い出だけだ。
だけど――「全人類の人格を奪う洗脳計画」と、双子に与えられた「ヒトとの信頼関係をもって解放される力」――この二つの要素は、どうも噛み合わないような気がしてならない。
「そうですね。せっかくここまでご足労いただいたわけですし……早速『お視せ』しましょう」
……『視せる』? 一体何を?
そう思うより早く、急な耳鳴りが脳を揺さぶる。
「ぐっ……!? なんだ、これ……?」
視界があっという間に暗転する――その直前。
頭上の巨大な装置から、青白い光が降り注いだ。